ヴェネツィア_2  Venezia_2

16. San Giovanni Novo 聖ジョヴァンニ・ノヴォ聖堂 (San Zaninovo)

 

 Castello 地区にある聖堂です。

 

 通称ではヴェネツィアの短縮表現で、San Zaninovo (聖ツァニノヴォ聖堂)または San Zan Novo (聖ツァンノヴォ聖堂)と呼ばれています。ほかの福音書記者聖堂との混同を避けるために、San Giovanni in Oleo(聖ジョヴァンニ・イン・オレオ聖堂)とも呼ばれています。

 

 12世紀半ばの建立で、15世紀に改築されましたが、18世紀に崩壊しその後再建されましたが、聖堂の正面は未完成です。

 

 元は規模の大きな聖堂だったことが、バリバリ(Jacopo de Barbari)のヴェネツィア鳥観図で見られますが、現在ではその面影もありません。聖堂前には小さな広場があり、井戸があります。

 

 現在は閉鎖されており、聖堂としての役割を果たしていません。

 

17. San Luca 聖ルカ聖堂

 

 San Marco地区にある聖堂です。

 

 11世紀に建設されています。16世紀に改築され、19世紀には正面が改装されています。

 

 サンタ・ルチア駅前から大運河をサン・マルコ広場に向かいリアルト橋を越えたところで、ルカ運河 (Rio San Luca)に入ると北側にあります。聖堂の前には広場もなく、橋があるだけです。

 

 鐘楼は左手奥にあります。

 

 正面は煉瓦積みの上をピンク色の漆喰で塗られており、扉口は一カ所の小さな聖堂です。 

 

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 

 正面の祭壇にはヴェロネーゼ (Veronese)1581年作、「牛に乗るルカと聖母子」が描かれています。

 

 

 両側面に祭壇が並んでいます。

 

18. San Maurizio 聖マウリッツォ聖堂

 

 San Marco地区にある聖堂です。

 

 11世紀に建設された後、12世紀と16世紀に罹災し、再建されています。現在の新古典主義様式の建屋は19世紀の建設です。

 

 16世紀のヴェネツィアを代表するサンソヴィノ (Sansovino)により建設され、1807年にナポレオンにより廃院にされただけでなく取り壊された聖ジェミニアーノ聖堂 (San Geminiano)を模倣して建設されたと言われています。

 

 また聖堂内はコドゥッシ (Codussi)の装丁を模倣したとされますが、規模は縮小されています。 

 

 なお、18世紀の画家カナレット (Canaletto)の描く「サン・マルコ広場 (Piazza San Marco verso la chiesa di San Geminiano)」には聖ジェミニアーノ聖堂が描かれています。

 

 聖堂の正面には同名の広場があり、井戸があります。正面に一カ所の扉口があり、その上の半円形の窓の両側には聖人の生涯の浮彫があり、三角形の破風にも浮彫が施されています。

 

 

 聖堂内はギリシャ十字形です。

 

 

 

 主祭壇には聖人の殉教場面が描かれた絵が掲げられています。

 

 

 現在ではヴィヴァルディ (Vivaldi)の音楽博物館となっており、聖堂の役割は果たしていません。

 

 多くのヴァイオリンの他、楽器が展示されています。

 

19. San Michele in Isola 聖ミケーレ聖堂

 

 San Michele in Isola地区にあります。ヴェネチアの共同墓地のある島です。

 

 10世紀に設立したカマルドリ修道会 (Camaldoli)の修道院として13世紀に建設され、1469年にコドゥッシ (Mauro Codussi)が建築家として最初に建設した聖堂で、ヴェネチアで最初のルネサンス様式の聖堂です。

 

 聖堂は白大理石製で扉口は一カ所のみです。

 

 正面の左手にある六角形のエミリアーナ礼拝堂 (Cappella Emiliana)も白大理石製で、輝いています。

 

 左手奥に煉瓦造りの鐘楼がコントラストになり、右側には回廊があります。

 

 なお、このカマルドリ修道会の出身者には、19世紀の教皇グレゴリオ16世がいます。他には1459年に作成された世界地図 (Mappa Mundi)の作者である、マウロ (Fra Mauro)がいます。

 

20. San Moisè 聖モーゼ聖堂

 

 San Marco地区にある聖堂です。

 

 8世紀に建設された当時は聖ヴィットレ (San Vittore)に奉献した聖堂でしたが、10世紀になって、モーゼに変更されています。

 

 旧約聖書の預言者に奉献された聖堂は珍しい例で、ビザンティン帝国の影響を受けています。

 

 12世紀に火災により焼失した以降も数度にわたり改築されています。現在の聖堂は1632年の建設で、正面は1668年に時の新興貴族のフィニス (Finis)家により装飾されています。

 

 

 正面には三カ所の扉口があり、上には半円形の窓があります。

 

 何より多くの聖人や天使や動物や花綱、束ね柱等、装飾過多の賑々しい造りです。

 

 中央扉口の上にはオベリスクがあり、その上に、ヴィンチェンツォ (Vincenzo Fini)の胸像まであります。

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 主祭壇には神がモーゼに戒律を渡す場面の彫刻が置かれています。

 

 

 他にはティントレット (Tintoretto )作の「弟子の足を洗うキリスト」、パルマ(Palma il Giovane)作の「最後の晩餐」があります。

 

 その他にも多くの絵画が左右側壁に飾られており、外装同様に、内装もにぎやかな聖堂です。

 

21. San Pantaleon 聖パンタレオン聖堂 (San Pantalon)

 

 Dorsoduro地区にある聖堂です。

 

 正式名はSan Pantaleonですが、ヴェネツィアの短縮表現でSan Pantalon (聖パンタロン聖堂)と呼ばれていますが、ほとんど変わらない表現と言えます。

 

 ヴェネツィア大学のあるフォスカリ宮 (Ca' Foscari)前の大運河から、フォスカリ運河 (Rio de Ca'Foscari)を溯ると北側に見えてきます。聖堂前には同名の広場があります。

 この広場では魚市が開かれていました。

 

 

 12世紀の初めに建設された当時は、聖堂は東西に向いていました。17世紀の半ばに聖堂の側面に扉口が付けられ、現在の聖堂前の広場から聖堂に入れるようになっています。

 

 

 その後17世紀の後半に、聖堂の正面を90度南に向けて、それまでの側面にあった扉口を正面に改造し、聖堂の正面が広場に向かうようになりました。ただし、正面の装飾はなされず、現在でも煉瓦積みのままになっています。

 

 鐘楼は当初の場所のままなので、現在では右手奥に見えますが、当初は聖堂正面の右手に並んでいました。

 

 聖堂内は単廊式です。

 

Il Martirio di san Pantalon (Wikimedia Commonsより)
Il Martirio di san Pantalon (Wikimedia Commonsより)

 

 左右の大きな礼拝堂が三カ所ずつ並んでいます。

 

 この聖堂の一番の特徴は天井画です。聖パンタレオンの殉教 (Il Martirio di San Pantalon)の場面が描かれています。通常の天井画はフレスコ画で描かれますが、この天井画は40枚のキャンバス画を縫い合わせたものです。

 

 イタリアの聖堂の中でも最大級の作品になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公式Webサイト「San Pantalon」(伊語)

https://www.sanpantalon.it/

 

https://www.sanpantalon.it/info-e-orari/

 開館時間などが記載されています。

「写真撮影不可」。詳細はGoogle翻訳で確認しましょう。

22. San Paolo Apostolo 聖使徒パオロ聖堂 (San Polo)

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。

 

 ヴェネツィアの短縮表現で、San Polo (聖ポロ)聖堂と呼ばれています。ヴェネツィアには独特な短縮表現がありますが、これは分かり易い方かもしれません。

 

 

 837年に時のヴェネツィア総督により建設されています。12世紀、15世紀に改築された後、19世紀初頭の改造部分は20世紀になって修復されています。

 

 聖堂の裏手には広い同名の広場 (Campo San Polo)があり、中央に井戸があります。広場に面した後陣にはゴティック様式の浮彫彫刻が数点見られます。

 

 

 

 聖堂の扉口は聖堂の南側に沿う、狭い道 (Salizada San Polo)に扉が一枚あるのみです。聖堂の正面は隣接した礼拝堂 (Oratorio del Crucifisso)のために見えません。

 

 鐘楼は1362年の建築で、聖堂から通りを隔てています。左右に二頭のライオンの彫刻があります。

 

内部 (Wikimedia Commonsより)
内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内は三廊式です。

 

 船形天井は19世紀に改築されたものです。

 

Ultima Cena di Jacopo Tintoretto (Wikimedia Commonsより)
Ultima Cena di Jacopo Tintoretto (Wikimedia Commonsより)

 ティントレット (Jacopo Tintoretto)の大作、「最後の晩餐」(Ultima Cena)、パルマ (Palma il Giovane)作、「タルサスの聖パオロ」(San Paolo in Tarsus)、ティエポロ (Giambattista  Tiepolo)作、「ネポムクの聖ヨハネに現れた聖母」(La Virgine Appare a San Giovanni Nepomuceno)等の絵画が見られます。

Via Crucis V Simone di Cirene aiuta Gesù a portare la croce (Wikimedia Commonsより)
Via Crucis V Simone di Cirene aiuta Gesù a portare la croce (Wikimedia Commonsより)

 

 なお、隣接する礼拝堂にはティエポロ (Giandomenico Tiepolo=Giambattista Tiepolo の息子)作キリストの十字架の道行きを表した多くの絵画が収められています。

23. San Rocco 聖ロッコ聖堂

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。

 

 サンタマリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ (Santa Maria Groriosa dei Frari)聖堂の後陣の奥にあります。小さな聖堂です。

 

 ヴェネツィアで流行したペストの終焉に貢献したフランス人の医者で、後に列聖された聖ロッコを奉献して建設された聖堂です。

 

 

 聖ロッコは1327年に死去しましたが、聖人を埋葬する新たな聖堂として1489年にボン (Pietro Bon)の設計で建設が始められ、聖堂正面は1527年にスカパニーノ (Scarpagnino)により完成しました。

 

 一階部分はルネサンス様式で、二階部分はバロック様式の混合様式で造られています。一カ所の扉口の両脇に二体ずつ聖人像が壁龕に収められています。

 

San Rocco risana gli appestati
San Rocco risana gli appestati

 

 1725年に再建された際に、扉口の上の二階部分に患者を診る聖ロッコ (San Rocco risana gli appestati)の浮彫が付け加えられました。

 

L'altare maggiore di Venturino Fantoni (Wikimedia Commonsより)
L'altare maggiore di Venturino Fantoni (Wikimedia Commonsより)

 聖堂内は単廊式です。

 

 両側面に二カ所の祭壇があります。中央主祭壇には聖人画と立像が置かれています。なお、内装はティントレットにより20年掛けて完成されています。

 

 聖堂は聖ロッコの聖遺物を保管しています。

聖堂正面の左手にはティントレットの壮大な絵画を保有する聖ロッコ同信会 (Scuola Grande di San Rocco)があります。

【補足】

 ヴェネツィアにはペストの終焉を祈願して建設された聖堂が四カ所あります。

 

 14世紀後半に流行した時代に建設された聖堂に、Cannaregio地区にある、聖ジョベ (San Giobbe=通称はSant'Agiope)聖堂、それに、Dorsoduro地区にある聖セバスティアノ (San Sebastiano)聖堂があります。

 

 17世紀に再度ペストが流行した際に、終焉を祈願して建設されたのが、サンタマリア・デラ・サルーテ (Santa Maria della Salute)聖堂です。

 

 なお、1576年のペスト終焉祈願が成就したことに感謝して建設された聖堂がレデントーレ (Santissima Redentole)聖堂です。

 

24. Scuola Grande di San Rocco 聖ロッコ同信会

 

 聖ロッコ同信会は、ヴェネツィアに敷衍したペストに罹患した患者の救済を目的として、聖ロッコの名前を戴き、ヴェネツィアの名士を中心に1478年に作られた平信徒による慈善団体の会です。

 

 

 

 聖ロッコ同信会の建屋は、1515年にボン (Bartolomeo Bon:Pietro Bonの父)により聖ロッコ聖堂の隣に建設が始められ、数人の建築者の手を経て、1560年に完成しています。

 

 

 二階建てのルネサンス様式の建物です。

 

 

 建屋内には、ティントレット (Jacopo Tintoretto)の多くの作品を見ることができます。

 

 「受胎告知」、「東方三王の礼拝」、「神殿奉献」、「嬰児虐殺」、「ラザロの復活」、「最後の晩餐」、「キリスト磔刑」など大作が掲げられています。

キリスト磔刑 (Crocifissione) 1565年
キリスト磔刑 (Crocifissione) 1565年

 

 

 

 

公式Webサイト「SCOULA GRANDE DI SAN ROCCO」(英語)

http://www.scuolagrandesanrocco.org/home-en/

 

臨時休館のお知らせなどが出ています(2020年11月3日~12月5日まで閉館)

ティントレットの絵画や「Not Only Tintoretto」には他の作者の絵画も掲載されています。

25. San Salvador 聖サルバドール聖堂

 San Marco地区にある聖堂です。

 

 大運河のリアルト橋停留所から東に向かうと直ぐの場所にあり、聖堂の正面には同名の広場 (Campo San Salvador)がありますが、とても広場と言えるほどのスペースではありません。街の喧騒の中にあります。

 

 伝承では639年に聖マグノ (San Magno)により建設された聖堂の一つと言われています。12世紀初頭に火災で罹災し再建されています。

 

 1179年第3回ラテラノ公会議を主催したことと、対抗教皇との紛争で名を残したアレキサンドル3世教皇は、1167年に神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ1世との紛争で、ローマを追われて、イタリアの各地に避難していました。

 

 ヴェネツィアには巡礼者のいでたちで訪れ、この聖サルバドール聖堂に避難したとされています。

 

 現在の聖堂は1506年にルネサンス様式で建設が始められ、1523年にはほとんど完成していましたが、1530年にサンソヴィノ (Jacopo Sansovino)が手を入れて完成させています。

 

 

 正面は17世紀半ばに改築されています。

 


  ラテン十字形の聖堂は、交差廊の上と身廊の上に二カ所、合計三カ所のドームが載る形態をしています。

 ビザンティン様式と、サン・マルコ大聖堂 (Basilica di San Marco)を踏襲している構造になっています。

 

 鐘楼は右手奥に見えています。

 

 なお、聖堂の右手には聖テオドロ兄弟会 (Scuola Grande Confraternita di San Teodoro)の建屋がありますが、現在では音楽会の会場となっています。

 

 聖堂内は三廊式です。

 

 主祭壇にはティティアン1560年作の「キリストの変容」がありますが、現在その前に銀製の祭壇衝立が置かれていて絵画は見えません。

 

受胎告知 (Altare con Annunciazione di Tiziano)
受胎告知 (Altare con Annunciazione di Tiziano)

 

 サンソヴィノ制作のヴェネツィア総督の墓の脇にある、同じくティティアン1564年作の4mを超える大作の「受胎告知」は見られます。

 

 

 他にパルマ (Palma il Giovane)1600年作「聖母子と三聖人」や、ベリーニ作「エマオでの食事」のコピーもあります。

 

 聖セバスティアンと聖ロッコの立像が置かれています。

 

 

 

 

 ヴェネツィアの守護聖人の聖テオドロの聖遺物容器が奉納されています。

カテリナ女王の墓所 (Monumento funebre della regina Caterina Cornaro di Bernardino Contin)
カテリナ女王の墓所 (Monumento funebre della regina Caterina Cornaro di Bernardino Contin)

 

 キプロスの王妃のカテリナ (Caterina Cornaro)は、当初聖使徒聖堂 (Santi Apostoli)に埋葬されましたが、移遷されて現在この聖堂内に墓所があります。

 

26. San Silvestro 聖シルヴェストロ聖堂

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。

 

 大運河に掛かるリアルト橋をくぐってサンマルコ広場に向かい、大運河を運行する水上バスの同名の停留所 (San Silvestro)で下船して北に向かうと、聖堂の南側に当たる広場 (Campo di San Silvestro)に出ます。

 

 聖堂の正面は狭い通りに面しています。

 

 15世紀に建設された聖堂で、その後18世紀に改築され、正面は20世紀に改装されています。

 

 正面には一カ所の扉口があり、その上には聖シルヴェストの立像が壁龕に収まっています。

 

 右手に高い鐘楼が聳えています。

 

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 

 正面主祭壇には両脇に脇侍する天使の奥にオルガンが置かれています。

 

Battesimo di Cristo (Tintoretto)
Battesimo di Cristo (Tintoretto)

 

 また、右側壁にはティントレット (Jacopo Tintoretto)作の「キリストの洗礼」の絵があります。

 

 

 他にも「聖家族」、「聖トマスと聖人達」、「洗礼者聖ヨハネと聖フランチェスコ」、などの絵画を見ることができます。

 

 聖シルヴェストロ聖堂広場から狭い道 (Calle Sbianchesini)を北西に進むと聖アポリナーレ聖堂 (Sant'Aponal)に出ます。

 

27. San Simeone Profeta 預言者聖シメオン聖堂

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。San Simeone Grande (聖シメオン大・聖堂) と呼ばれています。

 

 なお、大・聖堂の大は、大きい方の聖堂、の意味で司教座のある大聖堂のことではありません。

 

 聖シメオン小 (San Simeone Piccolo)聖堂がヴェネツィア駅前の、目に留まりやすい場所にあるのに対し、この聖シメオン大・聖堂は駅前から橋 (Ponte del Scalzi)で大運河を渡り、更にマリン運河 (Rio Marin)を越えた先の、目立たぬ場所にあります。

 

 大が付くのは、18世紀に小聖堂が拡張されるまではこちらの聖堂の方が規模が大きかったからです。

 

 

 967年に建設された古い聖堂で、1150年に焼失した後に石造化されています。

 

 正面には一カ所の扉口があり、両脇のコリント式の円柱が三角形の破風を支える簡素な造りです。

 

 聖堂内は18世紀に改造されています。

 

 

 聖堂内は三廊式です。

 

 主祭壇には聖母子像があり、その奥にはパルマ (Jacopo Palma il Giovane)作の「神殿奉献」が掲げられています。そのほか、ティントレット (Jacopo Tintoretto)作の「最後の晩餐」が見られます。

 

28. San Simeone Piccolo 聖シメオン小聖堂

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。

 

 聖シメオンとギウダ聖堂 (Santi Simeone e Giuda)とも呼ばれています。

 

 ヴェネツィアに列車で着いた人が、サンタ・ルチア駅を出て、最初に目にする聖堂です。

 

 大運河の向こう岸にあり、しかもその聖堂名に小 (Piccolo)が付いているので、小さな聖堂のように思いがちですが、実際には、少々東に位置している聖シメオン大・聖堂 (San Simeone Grande)にも劣らぬ大きさがあります。

 

 どちらも聖シメオン聖堂となりますが、聖シメオン小聖堂は聖使徒のシモンを示唆しており、聖シメオン大・聖堂は預言者シメオンを奉献しています。

 

 9世紀に建設された聖堂でしたが、18世紀の初めに現在の新古典主義様式で改築されており、ヴェネツィアでは新しい聖堂の一つと見なされています。

 

 外観はローマのパンテオン神殿を模しており、正面には四本のコリント式円柱が三角形の破風屋根を支える形態をとり、奥には円柱形の建屋の上に大きなドームが載っています。

 

内部 (Wikimedia Commonsより)
内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内は円形で、正面の奥に主祭壇があります。

 

29. San Eustachio 聖エウスタキオ聖堂 (San Stae)

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。

 

 サンタ・ルチア駅前から大運河を水上バスでサン・マルコ広場に向かうと、リアルト橋に至る前に右手に見えてきます。聖堂の正面は大運河に面しています。

 

 

 

 通常は、San Stae (聖スタエ聖堂)と表記されますが、正式名は聖エウスタキオ聖堂です。

 この短縮表現は、ヴェネツィア独特の表記です。

 

 地域に密着して歩んできた聖堂です。

 

 聖堂の正面は1709年に建設に関しての公開競技会が行われ、ロッシ (Domenico Rossi)を中心に建設されています。

 

 中央には一つの扉口があり、その両脇の二本のコリント式円柱が三角形の破風屋根を支え、屋根の上には三人の聖人像が立っています。

 

 円柱の間の壁龕には聖人像が立ち、更に建屋の外側に建つ円柱の上にも聖人像が載る、装飾過多の表現になっています。

 

主祭壇 (Wikimedia Commonsより)
主祭壇 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内は多くの絵画とフレスコ画で飾られていますが、これは1722年に12人の画家を招き、聖人の絵画を描かせた結果です。

 

聖バルテロメオの殉教 Martirio di San Bartolomeo di Giambattista Tiepolo (Wikimedia Commonsより)
聖バルテロメオの殉教 Martirio di San Bartolomeo di Giambattista Tiepolo (Wikimedia Commonsより)

 

 ピアツェッタ (Giovanni Battista Piazzetta)1722年作の、「聖ジャコモの殉教」やティエポロ (Giovanni Battista Tiepolo)1722年作、の「聖バルテロメオの殉教」などの絵画を見ることができます。

 

 

 

 なお、現在ではその音響効果が良いことから、コンサートホールとして利用されており、聖堂としての役割は果たしていません。そのため、内覧時間は制限されています。

 

 

30. San Tommaso Apostolo 聖使徒トマス聖堂 (San Tomà)

 

 Santa Croce e San Polo地区にある聖堂です。

 

 大運河を駅前から水上バスで聖マルコ聖堂に向かって進むと、San Silvestro船着き場の次が Sant'Angeloで、その次が San Tomà船着き場で、そこからすぐの場所にあります。

 

 通常は、ヴェネツィアの短縮表現でSan Tomà (聖トマ聖堂)と呼ばれています。

 

 10世紀に建設された聖堂で、14世紀に改築され、17世紀の改修で現在のバロック様式になっています。

 

 聖堂の正面には一カ所の扉口があり、二連式のコリント式の柱の脇には左手に聖マルコ、右手に聖テオドロの立像が壁龕に納まっています。屋根の上にも聖人像が見られます。

 

 聖堂の外側の左側面には「慈愛の聖母」(Madonna della Misericordia)の浮彫があります。

 

Scoletta dei Calegheri
Scoletta dei Calegheri

 

 この浮彫と同じような浮彫は、聖堂前の広場で対面する建屋 (San Tomà Scoletta dei Calegheri)にも見られます。

 

 この建物は、現在では図書館 (Biblioteca di San Tomà)になっていますが、もとは聖トマ聖堂に属するもので、靴職人組合の修練所でした。