プラート Prato

Google マップは現在の Cookie 設定では表示されません。「コンテンツを見る」を選択し、Google マップの Cookie 設定に同意すると閲覧できます。詳細は Google マップの[プライバシーポリシー]をご確認ください。Cookie の利用は、[Cookie 設定]からいつでも変更できます。
Museo Casa Frencesco Datini 博物館
Museo Casa Frencesco Datini 博物館

 プラート (Prato)は、トスカーナ州北西部の都市で、プラート県の県都です。

 

 最近、服飾産業に従事する中国からの移民が増加し、ミラノに次いでイタリア第2のチャイナタウンとなっているとのことです。

 

【アクセス】 

 プラートはフィレンツェの西に位置し、鉄道を利用すると30分ほどで到着します。

 

 プラートという名前の鉄道の駅は、フィレンツェから近い順に、中央駅 (Prato Centrale)、次に城壁門駅 (Prato Porta al Serraglio)と二つありますが、街中を巡るには、城壁門駅下車がお勧めです。

 

 駅は街の北端にあり、ドゥオーモまではマニョルフィ通り (Via G.Magnolfi)を南に向かって100mほどです。ドゥオーモからマッツォーニ通り (Via Mazzoni)を南下すると市立美術館のある広場 (Piazza Comune)に出ます。小さな街ですから、徒歩で十分に回ることができます。

 

【歴 史】

 プラートはフィレンツェに先行して織物産業が発達しましたが、フィレンツェの経済力に対抗できず、結果的にフィレンツェの支配下に入っています。

 

 

 プラート出身の大商人、ダティーニ (Francesco Datini)邸が博物館になっています。 膨大な量の書簡が残されていることで、小切手や約束手形が既に使用されていたことが判明したことなど、当時の経済活動が良くわかるだけでなく、当時の社会生活までが分かる貴重な史料となっています。当時の商人は予想以上に遠くまで商いに出かけていたことも分かります。。

 

フリードリッヒ2世建設の城 Castello dell’Imperatore
フリードリッヒ2世建設の城 Castello dell’Imperatore

 

  町には13世紀に神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世により建設された城 (Castello dell'Imperatore)があり、この城を東端として城壁が建設されました。

 その後14世紀に川沿いから駅までを含む一回り広い城壁が建設され、二重の城壁に囲まれた町となっています。

 

 外壁は現在でも見られますし、13世紀の内側の城壁跡も一部見ることができます。

 

 

 

 

 

【その他の情報】

 プラートの名前が入っている菓子「ビスコッティ・ディ・プラート (「カントゥッチ」ともいう)」が有名。

 

 詳細はこちら↓

 「プラートはビスコッティ(カントゥッチ)発祥の町!おすすめのお店はココ!

 

 トスカーナ産の食材専門通販「bottega055」サイト

 トスカーナ産ビスコッティ「BISCOTTI DI PRATO MATTEI」

 こちら↑のトップページにあるトスカーナのことわざは気に入りました。(^。^)

"Meglio buon desinare che una bella giubba” (おしゃれな服よりおいしいものが良い)

 

 レシピもありました。

 「辻調グループ総合情報サイト」→「コラム&レシピ」→「ビスコッティ・ディ・プラート

 

1. Duomo ドゥオーモ (Cattedrale Santo Stefano) 聖ステファーノ大聖堂

 

 町の中央にあり、大聖堂前の広場 (Piazza del Duomo)から、聖堂全体を見渡すことができます。

 

 

 ロマネスクゴティック様式の大聖堂ですが、最初は5世紀から7世紀にかけて建設されたと思われます。

 

 正面はカルバナ (Calvana)産の白い大理石とモンテフェラーノ (Monteferrano)産の緑の石が階層状に積み上がり、左右の均衡もとれており、堂々たる大聖堂の印象を受けます。

 

 扉口の上のティンパヌムには、白焼きテラコッタ製の天使が囲み、聖人が脇侍する聖母子が掲げられています。

 

    右手角には1434年から38年にかけて制作されたミケロッツオ (Michelozzo) 作の説教壇があり、周囲はドナテルロ (Donatello)作の踊る童子達の浮彫で飾られ、上には傘のような天蓋がかかっています。

 

 

 脇壁は1160年に改造されて、みごとに装飾された柱廊のある扉口が2ヵ所追加されています。

 

 

 その脇には13世紀に建設された鐘楼があり、アーチ型の窓枠が白と緑で放射状に仕切られた飾りが見られます。

 

 

 聖堂内は三廊式で、聖使徒を表す12本の円柱が白と緑の縞模様のアーチを支え、ロマネスク式の柱頭飾りも見られます。

 

 

 入ってすぐ左側にバルトロメオ (Maso di Bartolomeo)作の聖母の聖帯を祀る礼拝堂 (Cappella del Sacro Cingolo)があり、祭壇には聖母の聖帯 (聖母被昇天の際に聖トマスに授けたとされ、1141年に聖地からダゴマリ (Michele Dagomari)がプラートに持ち帰った)を収納した聖遺物容器が納められています。

 

 

 上にはジョヴァンニ・ピサーノ (Giovanni Pisano)1312年作の大理石の聖母子像を見ることができます。この聖母子像は多くの聖母子像彫像の元となっています。

 

 

 正面にはガッディ (Agnolo Gaddi)作の「聖母被昇天と聖帯の授与」が描かれ、天井には四大教会博士と四大福音書記者が、脇には受胎告知他のフレスコ画が色鮮やかに残っています。

 

 

 さらに進むと左手に聖杯型の説教壇が見えてきますが、台座の四隅にはスフィンクスの浮彫があります。

 上部にはロゼリーノ (Antonio del Rossellino)作の「聖母被昇天」の浮彫が施されています。

 

 なお、拝観料を払って、内陣に入ることができます。

 

 

 正面祭壇後陣にはステンドグラスが、右手にはフィリッポリッピ (Fra Filippo Lippi)作の洗礼者聖ヨハネの生涯の物語として、「ヘロデ王の饗宴=洗礼者ヨハネの斬首と踊るサロメ」・「荒野で祈る洗礼者聖ヨハネ」等のフレスコ画があります。

 

 左手には聖ステファノの生涯の物語として、「聖ステファノの出立」・「聖ステファノの埋葬」等のみごとなフレスコ画が見られます。

 

 正面祭壇の右手のアッスンタ (Assunta)礼拝堂には、ウッチェッロ (Paolo Uccello)作の聖母の生涯を描いた「聖母の誕生」・「神殿奉献」が右手に、左手には聖ステファノの生涯を描いた「聖ステッファノの石打ち」等があります。

 

 さらに右手がヴィナチェシ (Vinaccesi) 礼拝堂で、13世紀の多彩の「キリスト降下」があります。

 

 

 正面祭壇の左手にあるマナッセイ (Manassei)礼拝堂には、テラコッタ製の聖母子像 (Da Maiano作)があります。

 

 そしてその左手に聖家族 (Sacred Family)礼拝堂が並びます。

 

2. Monastero di San Clemente 聖クレメント聖堂

 

 聖ドメニコ聖堂北側のサン・ヴィンチェンツォ通り (Via San Vincenzo)を西に向かい、西端の城門の手前右側にあります。町並みに溶け込んでおり、聖堂とはわかりません。屋根の上に十字架がみえますが、

 現在、聖堂としての機能を果たしていません。

 

 「Monastero (修道院)」となっているため、一般の人は拝観できないようです。

 

内 部 (Wikimedia Commonsより)
内 部 (Wikimedia Commonsより)

3. Chiesa di San Domenico 聖ドメニコ聖堂

 

 現在は市立美術館 (Museo di Palazzo Pretorio di Prato)のあるコムーネ広場 (Piazza Comune)から西に向かうチェザーレ・グアスティ通り (Via Cesare Guasti)が、サン・ヴィンチェンツォ通り (Via San Vincenzo)に名前を変える所にあるサン・ドメニコ広場 (Piazza San Domenico)に面していますが、13世紀に造られた初期の城壁の外に位置していました。

 

 

 なお、聖ドメニコ広場に面して、対面には聖ヴィンチェンツオと聖カタリナ聖堂 (Santi Vincenzo e Santa Caterina de'Ricci)があります。

 

 

 西側にある正面には、1ヵ所の扉口とその上に丸窓があり、下部は緑色の大理石で格子状にアクセントが付けられています。

 

 

 側面には白と緑の大理石で縁取られたアーチ型の柱廊が並び、半ばには大理石で縁取られた扉口がありますが、現在使われていません。

 上部は粗石で覆われたままの造りになっています。

 

 

 聖堂内は両側に礼拝堂が並ぶ三廊式です。

 

 

 正面祭壇には聖遺物容器が置かれています。

 

4. Chiesa di San Francesco 聖フランチェスコ聖堂

 ドゥオーモの南からジュゼッペ・マッツォーニ通り (Via Giuseppe Mazzoni)を南下し、市立美術館のあるコムーネ広場 (Piazza del Comune)を右に見て、さらにベッティーノ・リカソーリ通り (Via Bettino Ricasoli)を南下すると直ぐに、聖フランチェスコ聖堂前のサン・フランチェスコ広場 (Piazza San Francesco)に出ます。

 

 その奥には、サンタマリア・デレ・カルチェリ聖堂 (Santa Maria delle Carceri)と城 (Castello dell'Imperatore)が見えてきます。

 1228年から1315年の長い期間をかけて、プラートで初めて煉瓦造りで建造された聖堂です。

 

 正面は白と緑の縞模様の大理石で覆われていますが、側面を見ると煉瓦で造られたことが良くわかります。

 

 破風にはスティグマを受ける聖フランチェスコの浮彫がありますが、かなり風化しています。

 

 扉口の上のティンパヌムには多くの天使に囲まれた聖母が描かれています。

 

 

 聖堂内は単廊式で、正面アプシスにはステンドグラスがあります。

 

 

 中央主祭壇にはキリストの磔刑像が置かれており、左右の祭壇のステンドグラスから光が差し込んでいます。

 左右の壁には高名な作者の絵画は見られません。

 

 

 内陣は15世紀の物ですが、その他は20世紀になって改装されており、簡素さが伝わってきます。

 

 絵画に高名な作家の作品は見られません。

 

 

 右手の鐘楼は18世紀の建造です。

 

5. Chiesa di San Nicolò 聖ニコロ聖堂

 

 聖ドメニコ聖堂西側のコルソ・サヴォナローラ (Corso Savonarola)を南下し、右側のニッコロ・カルディナーレ広場 (Piazza Niccolò Cardinale)に面しています。

 

 現在では学校「Conservatorio San Niccolò」になっており、聖堂の機能を果たしていません。

 

 

 https://sniccolo.it/la-storia-di-san-niccolo/

 こちら↑の「Google翻訳」によれば、1328年にドミニコ会修道院として建立され、2006年以降は、学校 (保育園から高校まで)になっているようです。

内 部 (Wikimedia Commonsより)
内 部 (Wikimedia Commonsより)

6. Chiesa di San Pier Forelli 聖ピエール聖堂

 

 市立美術館 (Museo di Palazzo Pretorio di Prato)東側のベッティーノ・リカソーリ通り (Via Bettino Ricasoli)を南下し、聖フランチェスコ聖堂の前のサン・フランチェスコ広場を過ぎると通りの名前が (Via Santa Trinita)と変わります。次の交差点を右折してカンビオーニ通り (Via Cambioni)に入り、通りの名前がペッレグリーノ通り (Via del Pellegrino)に変わり、交差点を一つ過ぎると、サン・ピエール広場 (Piazza San Pier Forelli)に出ます。

 

 西側の扉口正面の両脇には、聖ピエトロと聖パオロの立像が立つ新しい聖堂です。

 

 正面の文字 "hic domus dei est" はラテン語で「これは神の家なり」の意。

 

 聖堂内部は単廊式で、正面祭壇には磔刑のキリスト像が置かれています。

 

 

 祭壇は植物で飾られており、アプシスにはオルガンが置かれ、アカンサスの柱頭飾りのある円柱が半円形を型とり、花綱を持った天使の浮彫が施されています。

 

 

 半円蓋は花柄のある八角形で埋められています。

 

 バロック様式を模した近代的な楚々とした聖堂のあり方を示していると言えましょう。

7. Basilica dei Santi Vincenzo e Caterina de'Ricci 聖ヴィンチェンツオとカタリナ聖堂

 

 サン・ドメニコ広場 (Piazza San Domenico) で聖ドメニコ聖堂と対峙しているバロック様式の聖堂です。

 

    聖堂の外観はいたってシンプルで、鐘楼はありますが、聖堂側面の高い屋根の下に聖堂名が刻まれているだけで、側面を歩いていると聖堂とは気がつかないほどです。

 

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 

 中央祭壇には聖カタリナの聖遺物が収容され、祭壇上には天使の支える雲に載り天上のキリストのもとに昇天する、聖カタリナの浮彫が飾られています。

 

    現在の扉口は側面になっていますが、本来の扉口の上にはオルガンが置かれ、側壁には多くの浮彫がかけられています。

 

 

 蒲鉾型天井一面に聖画像と装飾が施されている華やかな聖堂です。

 

8. Basilica di Santa Maria delle Carceri サンタマリアデッレカルチェリ聖堂

 

 現在の城壁で囲まれた町ではほぼ中央に位置しますが、13世紀建造の初期城壁では東端に位置した城の北隣にありました。

 

 城の前の聖マリアカリチェリ広場 (Piazza Santa Maria delle Caricer) からそのドームを戴いたギリシャ十字型の均整のとれた全貌を見ることができます。

 

 

 1484年7月6日、子供が聖母の絵を壁に見たことを起源として、建立されました。

 

 聖堂を建設したのはジュリアーノ・ダサンガッロ (Giuliano da Sangallo)で、フィレンツェで活躍していた建築家でしたが、ロレンツオ・デメディチが1492年に死去すると、フィレンツェでは公私に渡る建築物工事は中断され、やむをえずプラートに移り住み、この聖堂を建築することになりました。

 

 

 聖堂内はルネサンス様式で、ステンドグラスはギルランダイオ (G.Ghirlandaio)作(1491年)で中央祭壇上には「聖母子と聖レオナルドとステファン」が置かれています。

 

 

 ドームの四隅には四大福音書記者が表象と共にテラコッタ製のメダイヨンに収まり、ドームの天井はアンドレア (Andrea della Robbia) 作です。

 

9. Chiesa di Sant'Agostino 聖アゴスティノ聖堂

 

 城壁門駅 (Prato Porta al Serraglio)を出てすぐ右手にある、ロマネスク様式の聖堂です。

 

 

 

 扉口が一つで、上に丸窓のあるシンプルな造りです。奥には鐘楼が聳えています。

 

 

 聖堂は三廊式で、コリント式柱頭飾りのある煉瓦積みの円形の柱が並び、中央祭壇はバロック様式で、「聖アゴスティノと磔刑のキリスト」が描かれています。

 

 

 

 側廊には祭壇があり、絵画が飾られています。