ノナントラ Nonantola

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西のモデナの塔_Torre dei Modenesi
西のモデナの塔_Torre dei Modenesi

 ノナントラ (Nonantola)は、エミリア・ロマーニャ州モデナ県 (Modena)モデナの北東約4kmにある町。

 

アクセス

 モデナ (Modena)の北東に位置し、バスを利用すると25分ほどで着きます。モデナからのバスは一時間に一本ありますので、簡単に日帰りできます。ただし日曜日には極端に本数が減りますので注意が必要です。

 

 モデナの郊外の住宅地といった位置づけでしょうか、個人の住宅が多く並んでいます。特徴のある村ではありませんが、この町を代表する修道院の周囲には中世のたたずまいが残っています。8世紀に修道院が建設されたことが町の起源となっています。

 

 

町を歩く

 バス停から広い駐車場を過ぎて大きな通りを進むと、店の先に時計塔 (モデナの塔:Torre dei Modenesi)が見えてきます。なお、広い道に沿って進むと修道院の左側面にある公園に出ます。

 

 

 

 

 

東のボローニャの塔_Torre dei Bolognesi
東のボローニャの塔_Torre dei Bolognesi

 歴史的地域の西端にあるモデナの塔を右手に見てローマ通りを東に進むと、修道院の正面に出ます。修道院の右隣は修道院博物館となっており、その建屋を回り込むと現在歴史博物館になっているボローニャの塔 (Torre dei Bolognesi)に至ります。村の東西に塔がそびえています。小さな村ですから、モデナからの日帰りで充分見て回れます。

 

 なお、歴史博物館は季節により開館時間が異なります。

 

 

その他の情報

ノナントラ修道院公式Webサイト

https://abbazianonantola.it/

 

 

公式観光サイト Visit Modena:「Nonantola museum」

http://www.visitmodena.it/english/tourist-information/discover-the-area/art-and-culture/museums-and-galleries/nonantola-museum

 

 

 

トラベルコ」→「旅の情報」→「特派員ブログ」→「旅倶楽部『こま通信』」→「モデナの北 ノナントラ修道院跡

1. Abbazia di Nonantola (San Silvesto) 聖シルヴェスト修道院

 

 ロンゴバルド王アイスタルフ (Aistulf)の義理の弟でフリウリ公 (Duca del Friuli)のアンセルモ (Anselmo)が義兄の支援を得て、752年に建設したことに始まります。アンセルモは後にローマ法王のステファヌス2世により修道院長に任命され、聖シルヴェストの聖遺物の一部を受領してローマから移遷しています。それにより、修道院の名前を聖シルヴェスト修道院に変更しています。

 

 アンセルモは積極的に写本を蒐集し、修道院は知識の集積地となりましたが、899年にハンガリー民族の侵略で修道院はその収蔵物を略奪され、また1013年には火災により、大きな損害を受けています。11世紀から12世紀には各地に名前が知れ渡る修道院となっていました。なお、アンセルモは聖人に列聖されています。

 隆盛を誇った修道院も13世紀以降急速に衰退し、15世紀初頭には正規の修道院長を欠くまでとなり、退廃していきます。20世紀の初めに大修理が行われ建設当初の姿が復活して今日に至っています。

 

 長さが45mを超える大きなベネディクト派の修道院で、煉瓦積みのロマネスク様式建築の傑作です。

 中央の扉口の差し掛け下屋の手前の柱をライオンが支え、テンパヌムの中央には両側に天使を従えた荘厳のキリストが玉座に座り、左手で聖書を持ち右手で祝福を与えています。

 

 周囲には福音書記者の表象が配置され、上のアーチには繊細な組紐模様の中に空想上の動物や鳥、花が彫られています。

 

 扉口の両脇の柱を飾る浮彫彫刻は1095年に付け加えられたとみなされています。

 左側の柱に施された彫刻は修道院の歴史を表しています。彫刻は下から上に順番に、

 1.アンセルモ公とアイスタルフ王。

 2.王冠を戴くアイスタルフ王とアンセルモ公。

 3.修道院とアンセルモ院長。

 4.法王に聖シルヴェストの聖遺物を懇願するアンセルモ院長。

 5.聖シルヴェストの聖遺物の移遷。

 6.聖シルヴェストの聖遺物の埋葬。

 7.ハドリアン3世法王の死去。

 8.ハドリアン3世法王の移送。

 9.ハドリアン3世法王の埋葬。

 10.サムソンとライオン。

と続いています。

 

 

 右側の柱の彫刻は聖母マリアとキリストの生誕を示しています。

 

 

 一番下には柱を支える男 (Telamon)がいて、次いで下から上に順番に、1.受胎告知。2.聖母とエリザベトのご訪問。3.キリストの生誕。4.牛と羊とキリスト。5.羊の群れ。6.羊飼いへのお告げ。7.東方三王の礼拝。8.キリストの神殿奉献。9.ヨセフの2度目の夢。と続いています。

 

  このように左右の柱の浮彫彫刻では全く別のことが展開しており、左右の柱に関連性はありません。

 

 なお、ここに展開している浮き彫り彫刻はウィリゲルモ (Wiligelmo)の作品とされています。モデナ (Modena)の大聖堂にみられる浮彫彫刻も同じウィリゲルモの作で、モデナの場合にはウィリゲルモが作成した旨を記載した石板がありますが、ここノナントーラの作品の方がモデナのそれよりも先に造られたとされています。

 

  参考:Modena の 1. Duomo (Santa Maria Assunta e San Geminiano) 大聖堂をご参照ください。

Abbazia di Nonantola 内部 (Wikimedia Commonsより)
Abbazia di Nonantola 内部 (Wikimedia Commonsより)

 修道院内は三廊式で、内陣は一段と高くなっています。玉座の聖母子、キリストの磔刑と聖人達、など15世紀のフレスコ画が飾られています。両脇から地下聖堂に入れることがわかります。

 

 しかし、2018年現在、修道院は大修復を行っており、正面の入り口部分は完全に覆われており、ロマネスク様式の浮彫彫刻が見られないばかりか、修道院の中にも入れません。

 修道院の右に隣接して修道院付属の博物館があります。近代的に整備された博物館で、聖職者の衣服、ピエタ像、聖母子像、聖遺物容器などの他、貴重な写本が展示されています。

 

 なお、博物館で特に依頼することにより、修道院の回廊に入れていただけます。修道院の側面に沿って進むと修道院の中の修理状況を窺い知ることができます。

 

 聖堂内部全体に足場が組まれ、フレスコ画や板絵にも修復作業が行われています。修復には長期間かかりそうです。

 更に進むと修道院の内陣の下にある地下聖堂に入ることができます。中に入ると内陣の裏側を垣間見ることができます。

 地下聖堂は86本の柱が並ぶ壮観な造りで、8世紀から12世紀に作成されたと思われるロマネスク様式特有の柱頭飾りの付いた柱を見ることができます。

 地下聖堂には聖シルヴェストの聖遺骨が納められています。

 

 

公式Webサイト Abbazia di Nonantola

https://www.abbazianonantola.it/visita-abbazia

 最初に聖堂の平面図があります。続いて多数の写真と共に説明があります (伊語:Google翻訳でお読みください)

 

旅行者向け情報

https://abbazianonantola.it/informazioni#TOURIST_INFORMATION
開館時間等が記載されています。

2. Santa Filomena 聖フィロメナ聖堂

 

 聖シルヴェスト修道院の前を北に向かい、ノナントーラ環状線と呼ばれる大通りを渡った所にあります。入口は南側を向いています。通りに面して三個のアーチ型の柱廊がある17世紀に建設された小さな聖堂です。

 

 なおその右側のガッテスカルコ通り (Via Abate Gattescalco)を北に進むと聖ミケーレ聖堂 (San Michele Arcangelo)があります。

3. San Michele Arcangelo 聖ミケーレ聖堂

 

 聖フィロメナ聖堂 (Santa Filomena)の右側面のアバーテ・ゴッテスカルコ通り (Via Abate Gottescalco)に沿って北に向かい、ピエーヴェ通り (Via Pieve)に突き当たると右奥に見えています。9世紀に建設された古い聖堂ですが18世紀に大改造されています。

 正面は煉瓦色に塗装され、白い柱が印象的な聖堂です。右に聖堂から独立して建つ鐘楼も近年修復されたものです。

 聖堂内は三廊式で、主祭壇にはキリストの磔刑像が下げられています。

 柱も天井も白一色で、側廊に礼拝堂が並びますが、ほとんど装飾はありません。

 通常の聖堂で見られる内陣や主祭壇の構造とは異なり、主祭壇の奥は一段と低くなってアプシスまでの距離があります。アプシスにも明かり取りの窓があるだけの簡素な作りで、円弧に沿って置かれた聖歌隊席の前にも平信徒用の席が設けられており、祭壇を前後から挟むような形態になっています。

 

 

 新しい聖堂の試みと思われます。