ローディ Lodi

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Lodi 駅
Lodi 駅

ローディ (Lodi) は、ローディ県の県都である。 

チーズ「ベラ・ロディ (Bella Lodi)」で有名。

 

【アクセス】

 ミラノ中央駅から東に向かう国鉄で、30分ほどで着きます。また、地下鉄でもミラノ・ロゴレド(Milano Rogoredo)経由で行く方法もありますので、出発する場所と、訪問する時間を勘案して選択するとよいでしょう。

 

【歴史】

 ローマ帝国の時代から、ミラノとピアチェンツア (Piacenza)の間にある、街道沿いの街として発展してきました。

 3世紀に早くも司教座がおかれ、初代の大司教、聖バシアヌス (Bassianus)が街の守護聖人とされています。

 

 街の繁栄の経済的な基礎はアッダ(Adda)川の流域に広がった豊かな農産物です。13世紀から始まった長年に渡る灌漑事業の成果が現在にまで続いています。

 

 1111年にミラノより、街は完全に破壊されましたが、1158年に神聖ローマ帝国のバルバロッサ皇帝が現在の場所に街を再建させています。

 

 14世紀からミラノのヴィスコンティ(Visconti)家により支配され、城が建設され城壁都市となっています。

 

 この街に関連して、歴史に残る重要な事件が三件起きています。

 

 一番目は、宗教上の出来事です。

 1413年に対抗法王のヨハネ23世により、ドゥオーモから法王の勅書が発信されました。これにより、1414年から1418年に掛けてコンスタンツで公会議が開催され、カソリック教会の大分裂が終止符を打つことになります。

 

 二番目は、街の名前の付いた条約が締結されたことです。

 1454年にローディの平和条約(Peace of Lodi)と呼ばれる、紛争解決に関する平和条約が締結されました。当時の大国であったミラノ、ナポリ、フィレンツェが集結して平和条約を締結したことです。これにより、ヴィスコンティ家から代わったスフォルツア(Sforza)家によるミラノ公国が承認され、マントバ(Mantova)のゴンザーガ(Gonzaga)家、フェッラーラ(Ferrara)のエステ(D'Este)家、サヴォイ家、ジェノヴァ共和国など、ヴェネチア共和国を含めた、北イタリアでの勢力図が確定しています。

 

 三番目は戦争に関することです。

 1796年にナポレオン将軍がイタリアに遠征し、オーストリアに勝利した「ローディの戦闘」です。これ以降ナポレオンは歴史の表舞台に出てくることになります。

 

【街を歩く】

 小さな街の割には街の豊かさを表しているように、多くの聖堂があります。特に、12世紀から15世紀にかけて繁栄した街ですから、聖堂もその時代に建設されたものが多くみられます。

 駅は街の南にあり、旧市街は北に向かって1km以内にあります。

 旧市街はすべて徒歩で回ることができます。ミラノからも近いので、簡単に訪問することができます。

 

1. Duomo 大聖堂 (Vergine Assunta)

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 駅前からダンテ・アリギエーリ通り(Viale Dante Alighieri)を北上し、カステッロ広場(Piazza Castello)に出てから、コルソ・ヴィットーリオ・エマニュエレ2世(Corso Vittorio Emanuele II)を進むと大聖堂前の広いヴィットリア広場(Piazza della Vittoria)に出ます。

 

 1111年にミラノにより街が破壊されたとき、大聖堂も同様に破壊されています。神聖ローマ帝国のバルバロッサ皇帝により街が再建されると同時に、1158年8月3日から再建され1163年にロマネスク様式で完成しています。

 同年の11月4日に街の守護聖人の聖バシアヌス(San Bassianus)の聖遺骨を地下聖堂に移遷しています。この祝典にはバルバロッサ皇帝が立ち会っています。

 

 1284年には聖堂の正面が完成しています。18世紀に改装されましたが、20世になって元に戻されています。

 

 正面から見て右手に、中央の薔薇窓と同じ大きさの時計が付いた、ほとんど窓のない矩形の大きな鐘楼があります。そのために、大聖堂は非対称型となっていますが、16世紀の半ばに建造したためです。

 

 

 中央には16分割された模様が良く分かる大きな薔薇窓と、脇にはルネサンス様式の二連窓が並び、最上階には聖バシリアヌスの立像が掲げられています。なお、1284年制作の原像は大聖堂内に置かれています。

 

 

 扉口の両脇にはライオンがポルティコ状の入口の柱を支えています。

 

 

 入口上のティンパヌムにはキリストの脇に聖母と聖人の浮彫が施されています。

 

 聖堂内は三廊式で、中央祭壇の奥の内陣は一段と高さが高くなっています。

 

 

 アプシスには20世紀作成のモザイク画があり、

 

 その下にオルガンが置かれ、囲んで聖歌隊席があります。

 

 

 

 

 右側廊には礼拝堂が三か所並んでいます。煉瓦の円柱にはフレスコ画が残り、多面祭壇画はカリスト (Callisto Piazza)作の「赤子殺し」、アルベルティーノ(Albertino Piazza)作の「天国の聖母」と15世紀の「最後の審判」などが飾られています。

 

 

 下は、地下聖堂となっており、聖アルベルト・カンドレリ大司教 (Alberto Quadreli:1168年から1173年)の聖遺骸が祀られています。

 

 

 また15世紀作成の「キリストの哀悼」の彩色されたテラコッタ像があります。

 

2. San Cristoforo 聖クリストフォロ聖堂

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 サンタマリア・ヴィジタツィオーネ聖堂(Santa Maria della Visitazione)の右手にあります。なお、街に聖クリストフォロの名前の付いた聖堂は二か所あります。

 

 1564年にペレグリーノ(Pellegrino Tibaldi)により再建されました。ナポレオンにより占領されていた時代には兵舎の厩として使用され、荒廃しましたが、20世紀なって修復されました。

 

 正面は未完成のままです。

 

 聖堂内はラテン十字でドームが載っています。左の2番目の礼拝堂にはティバルディ(Tibaldi)作のキリストの公生涯のフレスコ画があります。

 

3. San Filippo Neri 聖フィリッポ・ネリ聖堂

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 ドゥオーモに沿って左手のウンベルト通り(Corso Umberto I)を進むと左手に見えて来る大きな聖堂です。

 

 

 18世紀のロココ様式で、頂上の十字架は天使が支えていますが、両脇にも天使が見えます。

 

 

 入口は階段を上って入りますが、その上には聖人の胸像の彫刻が見えています。

 

 中央にドームが載り、右手に鐘楼があります。

聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)
聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内はきらびやかな内装となっています。

4. San Francesco 聖フランチェスコ聖堂

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 ドゥオーモの正面から右手にローマ通り(Corso Roma)を進み、カヴール通り(Via Cavour)を越えてさらに進み、XXセッテンブレ通り(Via XX Settembre)で左折し、オスピターレ広場(Piazza Ospitale)の先の左側に見えてきます。

 

 1280年ころフィッシラーガ(Bongiovanni Fissirage)司教により建設されています。

 

 正面は長方形で、中央の大きな白い大理石の薔薇窓が目を引きます。入口は三か所あり、中央入口の脇には半円柱型の片蓋柱が薔薇窓の半ばまでの高さに達し、両脇の入口上には尖塔型の窓があります。

 

 更にその上にルネサンス様式の二連式の尖塔型の窓があります。これは、壁に開かれた窓で、奥に部屋はなく、空が見え解放感を演出しています。14-15世紀に盛んに採用されるようになる先例となった窓です。

 

 聖堂内はラテン十字形の三廊式で、太い14本の円柱が穹窿天井を支えています。

 

 中央主祭壇は一段と高くなっており、正面の祭壇画はグリザイユで描かれています。


 

 太い柱には14世紀から18世紀にかけて描かれた多くのフレスコ画が残されています。「聖母子」、「悲しみのキリスト」、「大天使ミカエル」、「聖アントニオ・フィッシラーガ」、「キリストの洗礼」の他、多くの聖人が描かれています。

 

 なお、「聖フランチェスコの生痕」はソレチット(Sollecito)の作であることが分かっていますが、多くの作品の作者は不明です。

 

 

 側壁の「受胎告知」のフレスコ画の下には聖母子の脇に聖フランチェスコ、聖カタリーナ、聖マグダラのマリア、聖ドミニウスが矜持しています。

 

 

 

 

 「キリストの昇天」その他、多くのフレスコ画が残っており、さながら美術館にいるように思われます。

5. San Lorenzo 聖ロレンツオ聖堂

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 駅前からダンテ・アリギエーリ通り(Viale Dante Alighieri)を通り、11月4日通り(Viale IV Novembre)に右折し、直ぐのジュゼッペ・ガリバルディ通り(Via Giuseppe Garibaldi)に左折し、さらに北上すると左手に見えてきます。

 

 

 1159年建設のロマネスク様式の聖堂です。正面の中央には丸窓があり、入口が一か所ありますが、その両脇の半円柱型の片蓋柱は、街の北にある、聖フランチェスコ聖堂(San Francesco)の様式に似ています。

 

 窓の上には聖ロレンツオの立像が見えています。右手の奥には矩形の鐘楼があります。正面からは予想できないほど奥行きのある聖堂です。

 

 聖堂内は三廊式です。

 

 主祭壇の奥のアプシスにはピアッツア(Callist Piazza)作の「キリストの復活」のフレスコ画が、その下には聖ロレンツオの彩色された着衣の立像の他、洗礼者聖ヨハネの大理石像が見えています。


 

 内陣の聖歌隊席の背もたれには聖人が描かれています。

 

 内陣の左手の柱には、ピエタフレスコ画が残っています。

 

 

 左側廊の天井には神とキリストと精霊を中央に、天使の楽団が四方を囲んで描かれています。

 

 

 側壁には「生誕」、「ピエタ」などの絵画が飾られています。

 

 入口上にはオルガンがあります。

6. Santa Maria del Sole サンタマリア・デル・ソーレ聖堂

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 ドゥオーモの正面から左手にインコロナータ通り(Via Incoronata)を進みインコロナータ修道院(Santuario dell'Incoronata)を過ぎて、ソルフェリーノ通り(Via Solferino)に出て右手に曲がり、一つ目のサンタマリア・デル・ソーレ通り(Via Santa Maria del Sole)に左折して進むと右手に見えてきます。

 

 壁に描かれていた聖母のフレスコ画を守るために1564年に建設されました。20年後に、聖母フレスコ画は聖堂の中央に移されていますが、聖母の脇に太陽が描かれていたことから聖堂の名前となっています。1710年から拡張され、聖堂の正面はボニオ (Tommaso Bonio)の設計です。

 

 正面はバロック様式の聖堂で、下層部は横方向のコーニスが三か所の入口を構成し、上層部は三か所に破風が分かれ、両脇に聖ナボレ(San Nabore)と聖フェリーチェ(San Ferice)の立像が載っています。

 

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 主祭壇の奥には「受胎告知」から「聖母被昇天」の15枚の絵が三方を囲んだ、聖三位一体と聖母、聖職者、天使が描かれた大きな絵が掲げられています。

 

 

 入口の上にはオルガンがあります。

 

 

 

 「ロザリオの神秘」はトロッティ(Giovanni Battiste Trotti)作です。

 

 

7. Santa Maria della Visitazione サンタマリア・ヴィジタツィオーネ聖堂

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 ドゥオーモの正面から左手にインコロナータ通り(Via Incoronata)を進み、インコロナータ修道院(Santuario dell'Incoronata)を過ぎて、ソルフェリーノ通り(Via Solferino)に出て右手に曲がり、サンタマリア・デル・ソーレ通り(Via Santa Maria del Sole)を進み、サンタマリア・デル・ソーレ聖堂(Santa Maria del Sole)の前をさらに進んで、ファンフッラ通り(Via Tito Fanfulla)と交差する角にあります。

 

 13世紀に建設された際にはアンジェロ聖堂(Angelo)と呼ばれ、女性専用の集会所として機能しており、寄宿舎や学校として使用されてきました。

 

聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)
聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内は17世紀の多くの画家により、旧約聖書と新約聖書から天使に関連する絵画で飾られています。

中には入れません。

8. Sant'Agnese 聖アグネス聖堂

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 駅前のダンテ・アリギエーリ通り(Viale Dante Alighieri)を通り、11月4日通り(Viale IV Novembre)に右折し、直ぐのジュゼッペ・ガリバルディ通り(Via Giuseppe Garibaldi)に左折し、さらに北上すると左手に聖ロレンツオ聖堂(San Lorenzo)が見えてきます。更に進んでマルサーラ通り(Via Marsala)を右折すると左手にあります。

 

 聖堂の前には広場もなく、小さな聖堂ですから、近くまで行かないと見えてきません。

 

 14世紀に建設されたゴティック様式の聖堂で、正面には丸窓があり、両脇に尖塔型の窓があり、入口の脇の半円柱の片蓋柱は丸窓の高さの半ばまで足しています。

 

 

 聖ロレンツオ聖堂、聖フランチェスコ聖堂(San Francesco)の正面と類似しています。聖ロレンツオ聖堂を小型にしたように見えます。 

聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)
聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内は三廊式で、中央祭壇には15世紀制作のキリストの磔刑像が飾られています。

 

 右側廊の礼拝堂にはソレチット(Sollecito Arisi)作の「三博士の礼拝」があり、アルベルト(Alberti Paizza)1520年作の多面祭壇画もあります。

9. Santuario dell'Incoronata インコロナータ修道院

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聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)
聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)

 ドゥオーモの正面から左手に、細いインコロナータ通り(Via Incoronata)を進むと左手にありますが、入口は通りに並ぶ建物と区別がつきにくいので、注意が必要です。

 

 1488年にロンバルド・ルネサンス様式で建設されています。聖母のフレスコ画が奇跡を起こしたことから聖堂が建設されました。

 

 バッタージオ(Battagio)の設計で、中央に大きな八角形の塔が載っています。

 

 

 

 入口から通路を通り聖堂内に入ると、外観と一変して華やかな空間が広がります。青と金色を基調としており、青い柱には多くの人物が描かれ、金色の半球型のドームは幾何学模様で覆われています。

 

 

 八角形の建物の正面には主祭壇が設けられ、両脇に二つずつ放射状に祭壇が設置されています。

 

 各祭壇の奥行きは1mにも満たないものですが、ミラノにあるサンタマリア聖堂(Santa Maria)の主祭壇で、ブラマンテ(Bramante)が遠近透視図法により遠大な祭壇に見せたのと同じアイデアを採用して設置されています (リンクをクリックすると新しいタブでミラノのサンタマリア聖堂(Santa Maria presso San Satiro)が開きます)

 

 

 

 主祭壇には聖母子と聖カタリーナの絵が飾られており、主祭壇の右手の第2祭壇のベルゴニョーレ(Ambrogio Bergognore)作の「受胎告知」、「聖母訪問」、「三博士の訪問」、「神殿奉献」は15世紀末の作品です。

 

 各祭壇の上層部には二連式の広い窓が並び、そこから採光することで、囲まれた空間を明るく保っています。

 

 

 その上の八面の穹窿状の天井部分に洗礼者聖ヨハネの他、多くの聖人と天使が描かれています。

 

 入口の上に設置されたオルガンは1507年のロレンツオ(Lorenzo da Lucca)の制作です。