マロースティカ Marostica
マロースティカ (Marostica)は、ヴェネト州ヴィチェンツァ県 (Vicenza)にある町。
【アクセス】
ヴェネツィア(Venezia)からはバッサーノ・デル・グラッパ(Bassano del Grappa)まで電車で1時間半ほどです。またパドヴァ(Padova)からも同じくらいの時間がかかります。
以前はバッサーノ・デル・グラッパからマロースティカまで鉄道がありましたが、現在では廃線になっているので、駅前からバスで行くことになります。20分程で到着しますが、マロースティカに行くバスは一日に数本しかなく、電車と接続していませんので、往復するには注意が必要です。
バスの運転手さんに街に着いたら、下車する停留所を教えてもらうように事前に依頼しておくのが無難ですが、山の上に城が見えてきて、近づくにつれ、高い城壁の取り囲む街が見えて来ますので間違えることは無いでしょう。
【歴史】
10世紀初めにパドヴァの司教領として開拓されましたが、11世紀から13世紀の間はバッサーノ・デル・グラッパの領主のロマーノ家(Da Romano)が支配していました。
1260年にはヴィチェンツァ(Vicenza)が、その後パドヴァが、さらにヴェローナ(Verona)の各都市国家による占領の変遷を経て、1404年になってヴェネツィアにより征服されています。
【観光】
街の城の前にある中央広場(Piazza Castello)にはヴェネツィアの聖マルコを表象する有翼のライオンが柱の上に載っています。
街の城 (下の城=Castello Inferior)から山の城(上の城=Castello Superiore)まで周囲を城壁が囲み、城壁の各所に方形の櫓が並んでいます。
街に入るには東にバッサーノ門 (Porta Bassano)、西にブレガンツィーニ門 (Porta Breganzina)の強固な門が存在しています。現在でも完全な城塞都市の形態を残しています。
チェス(Scacchi)とサクランボ (Ciliegia)の街として有名で、中央広場 (Piazza Castelloは別名 Piazza degli Scacchiと呼ばれます) には一辺の長さが2mほどの正方形がチェック柄に塗り分けられたチェスボードが描かれています。
隔年の秋に開催されるチェス(Scacchi)大会では、人間が中世風の扮装をして、それぞれの駒になり戦われる大規模な催しです。チェス盤を囲んで観覧席が設えられ、多くの観光客で賑わいます。
街の案内によると、中世から続く伝統のある催し物とされていますが、実際には20世紀になって盛んになったお祭りのようです。
なお、山形県の天童市と1989(平成元)年に姉妹都市協定を締結しています。両市ともに、将棋の駒だけでなく、サクランボの街としても有名です。
【その他の情報】
「アーモイタリア旅行ガイド」→「マロスティカ (Marostica)について」、「マロスティカへの行き方」
【マイナー観光ガイド】Marostica (マロースティカ)【ヴェネト州ヴィチェンツァ県】
1. San Marco 聖マルコ聖堂
街には司教座はありませんので、大聖堂(Duomo)はありません。
街の城の北側に広がるチェス広場(Piazza degli Scacchi)の北側を東西に走るマッツィーニ通り (Corso Mazzini)を東に向かい、城の東を護るバッサーノ門(Porta Bassano) の手前を右折して聖マルコ通り(San Marco) に入ると突き当たりにあります。
一か所の扉口の上に丸窓がある、切妻式のロマネスク様式の小さな聖堂です。正面向かって右側の屋根に鐘を吊るすだけの二連式の小さな鐘楼が載っています。
現在催し物会場として活用されており、聖堂としての役割を果たしていません。
2. Sant'Antonio Abate in Marostica 聖アントニオ・アバテ聖堂
街の中心のチェス広場(Piazza degli Scacchi)から北に向かうサンタントニオ通り(Sant'Antonio)を、山の城に向かって石畳の道を進むと右側に見えて来ます。
なお、道の正面にはマドンナ・デル・カルミネ聖堂 (Madonna del Carmine)が見えています。
聖堂の正面には一か所の扉口があり、コリント式の柱頭飾りのある四本の方形の片蓋柱が切妻屋根を支えています。
扉口の上には聖人像が浮彫にされている、バロック様式の聖堂です。
聖堂内は単廊式ですが、正面扉口を入った右手にある洗礼堂と、左手にある聖母礼拝堂が半円形で袖廊のように飛び出た形をしています。
中央主祭壇には聖人が説教をする姿が描かれ、天井には聖人が被昇天する姿が描かれています。
左右壁には三か所の礼拝堂が並び、人造花崗岩(Scagliola)で造られた細かな模様の祭壇が置かれています。両壁の礼拝堂の上から採光されており、明るい聖堂です。
正面扉口の内側上にはオルガンがあります。
なお、聖堂の通りを挟んで向かい側にも小さな聖堂があります。入口の上にはキリストのフレスコ画が認められますが、現在聖堂としての役割は果たしていません。
3. Madonna del Carmine マドンナ・デル・カルミネ聖堂
聖アントニオ・アバテ聖堂 (Sant'Antonio Abate in Marostica)から、山の城に向かって坂道を登って行き、聖堂前で階段を上ると聖堂正面に到達します。
17世紀初頭に市民の浄財で、街を見下ろすことのできる地に建設されています。
山を背にして街に向いていますので、聖堂の正面は南に向いています。右手奥に方形の鐘楼が見えています。バロック様式の聖堂です。
正面は聖アントニオ・アバテ聖堂と類似した造りになっています。一か所の扉口があり、イオニア式の柱頭飾りのある四本の円形の片蓋柱が三角形の破風を支えています。
屋根には聖母子像が載っています。扉口の上には八角形の窓があります。
聖堂内は単廊式です。
聖母子像を飾った中央主祭壇が階段の上にあるのが特徴です。
天井のフレスコ画は18世紀のものですが、両壁の礼拝堂には聖アントニオ・アバテ聖堂と同様に16世紀に作製された人造花崗岩 (Scagliola)で作成された祭壇が置かれています。
4. Santa Maria Assunta サンタマリア・アッスンタ聖堂
街の東のバッサーノ門 (Porta Bassano)から城壁を出てすぐに、プロスペロ・アルピノ通り (Via Prospero Alpino)に左折して北に向かい、200mほど進んで、その後道なり右折すると100mほどで右手に見えて来ます。
18世紀初頭に建設されたバロック様式の聖堂です。
正面には扉口が三か所あり、中央扉口の脇にコリント式柱頭飾りのある円柱が二本ずつ並ぶ、パッラーディオ様式の聖堂です。
切妻屋根の上には聖母子像が見られます。なお、鐘楼は通りを隔てて建っています。
聖堂内は三廊式です。