サン・ジミニャーノ San Gimignano

Google マップは現在の Cookie 設定では表示されません。「コンテンツを見る」を選択し、Google マップの Cookie 設定に同意すると閲覧できます。詳細は Google マップの[プライバシーポリシー]をご確認ください。Cookie の利用は、[Cookie 設定]からいつでも変更できます。
San Gimignano 塔の街
San Gimignano 塔の街

【歴 史】

 サンジミニャーノは塔の町して名を馳せています。現在でも14を数える塔がありますが、9世紀から14世紀の町の全盛時代には、はるか遠くからもその存在が分かる塔は、富を象徴するものであり、富を誇る商人や名声家は競って塔の建設に励み、至る所に塔が林立していたと言われます。

 

 町は城壁で囲まれており、中に入るには城門を通ることになります。現在でも5ヵ所の城門が残っています。城 (Rocca di Montesraffoli) は町の中心にある大聖堂の西側の丘上にありますが、現在は城壁の一部を残すだけとなっています。

 

 ローマと北部イタリアを結ぶ街道の町として繁栄し、富と名声を誇っていましたが、街道がサンジミニャーノを通ることが無くなったとたんに、もろくも崩れ去ったのでした。

 

  現在では中世のまま取り残された姿が観光の対象となっており、歴史の皮肉とも言えるでしょう。

 

【アクセス】

 町まで鉄道は通っていません。

鉄道を利用する場合には、フィレンツエと シエナの両都市から、ポッジボンシ (Poggibonsi) まで行き、そこからバスに乗り継いで行くことになります。シエナからはバスで往復することができますし、フィレンツェからは日帰りのバスツアーが多く組まれています。どちらからも片道1時間半程かかります。

San Gimignano チステルナ広場 (Piazza della Cisterna)
San Gimignano チステルナ広場 (Piazza della Cisterna)

 バスは、町の南端に到着しますので、サンジョバンニ門 (Porta San Giovanni) をくぐって町内に入ります。狭いジョヴァンニ通り (Via San Giovanni) の両脇には昔からの格調の高い建物が続きますが、お土産屋さんも軒を連ね、門前町のような華やかさも併せ持っています。

  

 ベッチ門 (Arco dei Becci) を通るとチステルナ広場 (Piazza della Cisterna) に出ます。井戸を中心にした広場で12世紀から13世紀の建物が周囲を囲んでいます。次いで大聖堂のあるドゥオーモ広場に出ます。

 

 【絵画の比較】

 市立美術館 (Palazzo del Popolo) に収容されている、メンミ (Lippo Memmi) 作「荘厳の聖母」(Maesta)は、シエナの市庁舎 (Palazzo Comunale) に収容されている、シモーネ (Simone Martini) 作「荘厳の聖母」と構成も大きさも非常に類似した作品です。

 また、コッポ・ディ・マルコヴァルド、1250-1255年作の、「キリストの磔刑」の板絵はフィレンツエのサンタクローチェ聖堂に隣接する美術館に収容されているチマブーエ(Cimabue)作、「キリストの磔刑」の板絵と比較されることをお勧めします。

 

 

【その他の情報】

ITALY Guides.it」(英語) → https://www.italyguides.it/en/tuscany/san-gimignano

 ヴァーチャルツアーでSan Gimignanoのポイント (チステルナ広場、ドゥオーモ広場、塔や門など)のパノラマ画像を見ることができます。

 

1. Duomo di San Gimignano ドゥオーモ (Collegiata di Santa Maria Assunta) 参事会聖堂

 町の中心に聖堂と同名の広場 (Piazza del Duomo)があり、聖堂の正面を見渡すことができます。

 

 

 聖堂は広場から20段以上の階段上にあります。聖堂の扉口は中央では無く、左右に二か所あり、中央には大きな薔薇窓、左右の扉口上方には少し小さめの薔薇窓があります。

 

 右手奥には鐘楼がありますが、塔の町では鐘楼もその存在感は薄らいで見えます。

 

 正面は粗石のままです。

 

 12世紀に建設されたロマネスク様式で、1317年に完成しています。ラテン十字型をしています。

 

 

 

 聖堂には左手から入りますが、扉口にはマリティーニ(Maritini Cetti)1482年作、「受胎告知」が掲げられています。

 

Esequie di Santa Fina (聖フィナの葬儀)
Esequie di Santa Fina (聖フィナの葬儀)

 聖堂内は三廊式で側面には窓が無く、少ない光がフレスコ画の保存に貢献しています。

 中央主祭壇の聖遺物容器はジュリアーノ (Giuliano da Maiano) 作です。

 

 

 右翼廊奥には聖フィナの礼拝堂 (Cappella di Santa Fina)があり、ギルランダイオ (Domenico Ghirlandaio)作「聖フィナの葬儀」「聖グレゴリオのフィナの病床見舞」等のみごとなフレスコ画があります。

 

 扉口の上部にはタッデオ (Taddeo di Bartolo)作「最後の審判」があります。

 

 右側廊の壁にはバルナ (Barna da Siena)作のキリストの生涯から、上段には「キリストの洗礼」、「聖ペテロを弟子にする」、「キリストの変容」などがあり、下段には「キリストの捕縛」、「キリストの鞭打ち」、「カルバリオへの道行」があります。一番左には上下二段の大きさの「キリストの磔刑」のフレスコ画で埋め尽くされています。

 

 左翼廊には聖母の礼拝堂があります。

 

 左側廊壁には旧約聖書からバルトロ (Bartolo di Fredi)作「モーセ」、「箱舟」など26場面があります。

 

 側廊壁の青を基調としたフレスコ画は穹窿天上の天空を表す青に繋がるように広がっています。

 

 

 多くの名作をじっくり観ることができるすばらしい聖堂です。

 

 

【関連URL】

 公式Webサイト Duomo di San Gimignano

http://www.duomosangimignano.it/eng/index.htm (英語)

開館時間、入館料などが記載。

 

パンフレット↓

http://www.duomosangimignano.it/pdf/brochure.pdf (英語・伊語併記)

ダウンロードしてからAcrobat Readerで読みましょう。

2. Chiesa del Quercecchio クエルチェッキオ聖堂

 

 町の中央のドゥオーモ広場 (Piazza del Duomo)から南に延びるコスタレッラ通り (Via Costarella)を南下し、突き当たりで右折してクエルチェッキオ通り (Via di Querccechio)に入ります。120mほど進むと右手に見えてきます。

 

 

 聖堂の名前 (Quercecchio)は通りの名前 (Quercecchio)として残っているだけで、現在では聖堂の役割をはたしていません。

 

 

 ロマネスク様式の聖堂であった建物です。右脇には鐘楼も見えます

 

 聖堂は現在、「鳥類博物館 (Museo Ornitologico)」となっています。中には聖堂時代のフレスコ画の一部が残っています。

 

3. Chiesa di San Bartolo 聖バルトロ聖堂

 

 町の入口のサンジョバンニ門 (Porta San Giovanni)から、中央のドゥオーモ広場 (Piazza del Duomo)を左手に見てサン・マッテオ通り (Via San Matteo)を北上すると、両脇に土産物屋の並ぶ道の右手に出てきます。小さな聖堂です。

 

 

 煉瓦造りの聖堂は、近年再建されており、正面が2層造りで、中央扉口の脇の二本の円柱がロマネスク様式の聖堂であったことを示しています。

 

 扉口の上の楣石は旧来の聖堂の石を使用していると思われ、中央に十字の浮彫が見られます。

 

 

 聖堂内は単廊式の小さな聖堂です。

 

 

 聖堂の中には、恐らく旧聖堂の祭壇画だったと思われる「生誕」と「受胎告知」が壁に掲げられています。

 

 

4. Chiesa di San Francesco 聖フランチェスコ聖堂

 

 町の入口である、サンジョバンニ門 (Porta San Giovanni)を入ってすぐ、通りの右側にあります。

 

 現在建屋は商店として利用されており、聖堂の機能を果たしていません。

 町の入口に近いので、観光客が大勢いて見過ごしてしまいがちです。

 

 赤煉瓦の建屋には足元から四本の川が流れ出る「聖なる羊」の浮彫があり、扉口の脇の四本の柱には、良く見ると小さな顔の彫刻が付いた柱頭飾りが見えます。

 

 扉口の上のティンパヌムには十字架があり、半円形の元石の下には動物の顔が付いていて、かつての聖堂の痕跡を認めることができます。

 

 

【関連URL】

ITALY Guides.it(英語) →「Church of San Francesco」https://www.italyguides.it/en/tuscany/san-gimignano/church-of-san-francesco

 聖堂前のパノラマビューで、通りを見渡すことができます。

 

5. Chiesa di San Girolamo 聖ジロラモ聖堂

 町の入口のサンジョバンニ門 (Porta San Giovanni)から中央のドゥオーモ広場 (Piazza del Duomo)を越えてサン・マッテオ通り (Via San Matteo)を北上し、9月20日通り (Via XX Settembre)に右折して直進すると、通りの名称がフォルゴレ・ダ・サンジミニアノ通り (Via Folgore da San Giminiano) と変わります。 

 

 聖キアラ聖堂(左側)の先、聖ヤコブ聖堂 (Chiesa San Jacopo)に向かって進むと、右手に見えてきます。さらに進むと町の北東の端にある、サン・ジャコポ門 (Porta San Jacopo)に至ります。

 

 屋根の上に小さな2連式の鐘が並んでいますが、普通の民家と同じ造りで見過ごしてしまいそうです。

 

 修道院であることを示す小さな木の看板があるだけです。

 修道院のため中には入れません。

 

 

 

【関連URL】

聖ジロラモ修道院 (Monastero di San Girolamo) Webサイト 

www.monasterosangirolamo.it/

 

Virtual Tour で、内部のようすも分かります。↓

http://www.monasterosangirolamo.it/index.php?p=visite

6. Chiesa di San Jacopo al Tempio 聖ヤコブ聖堂

 

 町の入口のサンジョバンニ門 (Porta San Giovanni)から大聖堂を越えて北上し、9月20日 (Via XX Settembre)通りに右折して直進すると、通りの名称がフォルゴレ・ダ・サンジミニアノ通り (Via Folgore da San Giminiano)と変わります。

 

 さらに進んで、町の北東の城門 (Porta San Jacopo)の手前左側に位置する11世紀に建設されたロマネスク様式の聖堂です。

 

 

 扉口の上には小さな薔薇窓があり、塔屋に鐘が見えます。

 

 下層部は粗石造りで、扉口の上の楣石には十字架の浮彫があり、上部は煉瓦造りになっています。

 

 聖堂内にはフィオレンティーノ (Pier Francesco Fiorentino)作の「大ヤコブ」があります。

 

7. Chiesa di San Pietro in Forliano 聖ピエトロ聖堂

 

 町の入口であるサンジョバンニ門 (Porta San Giovanni) から中央の大聖堂を越えて北上し、9月20日通り (Via XX Settembre)に右折して、ロミテ通り (Via delle Romite) と交差する十字路を左折すると、アゴスティノ広場 (Piazza Sant'Agostino)に出ます。

 

 この広場の左側手前にある小さな聖堂です。

 

 

 扉口は一カ所のみで、上には丸窓のあるロマネスク様式の聖堂です。

 

 奥にあるのが、聖アゴスティノ聖堂 (San Agostino)です。

 

内 部 (Wikimedia Commonsより)
内 部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内は単廊式で、窓は左側にしかありません。

 

8. Santa Chiara 聖キアラ聖堂

 

 町の入口のサンジョバンニ門 (Porta San Giovanni)から中央の大聖堂を越えてさらに北上し、9月20日通り (Via XX Settembre)に右折し、ロミテ通り (Via delle Romite)との交差点を直進すると、通りの名前がフォルゴレ・ダ・サンジミニアノ通り (Via Folgore da San Giminiano)と変わります。

 

 次の右側へ向かう一方通行のフォンティ通り(Via Delle Fonti)との三差路の左手に見えてきます。

 

 隣には、現代美術の画廊「Galleria d'Arte Moderna e Contemporanea Raffaele De Grada」があります。

 

 

 ロミテ通りとの交差点で左折してグリェルモ・マルコーニ通り (Via Guglielmo Marconi)に入って進むと、左に聖ピエトロ聖堂が見え、突き当たりのサン・アゴスティーノ広場 (Piazza San Agostino)に聖アゴスティーノ聖堂があります。

 

 なお、フォルゴレ・ダ・サンジミニアノ通り (Via Folgore da San Giminiano)とグリェルモ・マルコーニ通り (Via Guglielmo Marconi)の交差する建物の角を見上げると金網に囲まれた石像が見えます。

 

9. Chiesa di Sant'Agostino 聖アゴスティーノ聖堂

 

 町の入口であるサンジョバンニ門 (Porta San Giovanni)から中央の大聖堂を越えて北上し、9月20日 (Via XX Settembre)通りに右折して、ロミテ通りとの交差点で左折してグリェルモ・マルコーニ通り (Via Guglielmo Marconi)に入って進むと、左に聖ピエトロ聖堂が見え、突き当たりのサン・アゴスティーノ広場 (Piazza San Agostino)にあります。

 

 右手奥には鐘楼があります。

 

 

 扉口は一カ所で、上には丸窓があるロマネスク様式の聖堂です。

 

 

 単廊式の聖堂で、アプシスにはステンドグラスがあります。

 

 

 中央主祭壇にはピエロ (Piero del Pollaiuolo) 作の「聖母戴冠」の大きな祭壇画が飾られています。聖人の見上げるなか、キリストから冠を受ける細面の聖母の姿は印象的です。

 

    正面中央祭壇の左側にはピエタ像が飾られています。

主祭壇の左側壁の正面に聖セバスチャンの殉教の場面が描かれています。

 

 主祭壇の両脇とアプシスには15世紀半ばにゴッツォーリ (Benozzo Gozzoli)が制作した「聖アウグスティヌスの生涯」のみごとなフレスコ画が合計で17面描かれています。一部剥離が見られますが、色鮮やかに残っています。

左のフレスコ画では、最下段の右はミラノへ向かう聖人で、最上段は聖人の死が描かれています。

 

 

 天上には四大福音書記者がその表彰と共に描かれています。

 

 

 現在、聖堂への扉口が右側面からになっているため、入って左側になりますが、本来の扉口から入ると右側にある、バルトロ礼拝堂 (Cappella Bartolo)には、中央に聖母子の彫刻があり、壁の上には天使が脇侍するテラコッタ製の聖母子が見えます。

 

 大理石の大きな祭壇の中には聖遺物が収納されています。

 

 

 

 天上には聖ヒエロニムスをはじめ、中世の四大教父が描かれています。

 

 

 また同様に扉口の左側の祭壇にはフィオレンティーノ (Pier Francesco Fiorentino) 作の「聖母子と聖人」が置かれています。

 

 なお、側面には元は壁画と思われる「授乳する聖母」のフレスコ画の両脇に色大理石の円柱にコンポジット式の柱頭飾りを付けた祭壇があります。

 

 

 聖母と聖ヨハネが両側にたたずみ、中央に木製の十字架が埋め込まれたフレスコ画の祭壇があります。磔刑のキリストの木像がこの木製の十字架の上に載っていたと思われます。このほかにも、両側壁に祭壇が見られます。

 

なお、左側面に「聖セバスチャンの殉教」のフレスコ画を納めた祭壇があります。現在の聖堂は右側面の扉口から入りますので、聖堂に入ると正面に見ることができます。

サンジミニャーノでペストが蔓延したことから、聖セバスチャンが描かれることになりました。

平然と矢を受ける聖セバスチャンの姿に、飛んでくる矢のように、突然襲いかかるペストの災を重ね合わせ、ペストの守護聖人として、身の安全と病の終焉を祈願したのです。

しかしながら、この祭壇画では伝統的な図像学上の描き方と異なり、聖セバスチャンの体に矢は刺さっていません。また正面を向いて着衣しています。

この祭壇画を作成するにあたり、聖アゴスティノ聖堂のストランビ(Fra Domenico Strambi) 司祭から指導を受けているとされています。

 

 

 聖堂の左手奥は二層式の回廊になっており、中庭には井戸があります。

 

 多くの傑作が見られる聖堂です。